ノーコード制作の見積書には、制作費だけでなく、使用するツールの料金、初期設定、デザイン、機能、修正回数、納品後の保守費用まで記載します。特にノーコードは、サービスの利用料やプラグイン費用が別に発生することがあるため、「制作会社・制作者に支払う費用」と「外部サービスに支払う費用」を分けて示すことが大切です。
ノーコード制作の見積書に記載する基本項目
まず、見積書の対象となる制作物と作業範囲を明確にします。次の項目を入れると、発注後の認識違いを減らせます。
| 項目 | 記載する内容 |
|---|---|
| 案件名 | Webサイト制作、業務アプリ制作などの名称 |
| 制作物 | Webサイト、LP、予約フォーム、業務アプリなど |
| 使用ツール | 利用するノーコードサービス名、CMS、外部ツールなど |
| 作業内容 | 要件整理、画面設計、デザイン、構築、設定、テストなど |
| 数量・単位 | ページ数、画面数、フォーム数、作業時間など |
| 単価・金額 | 作業ごとの費用、または一式の費用 |
| 納期・納品条件 | 納品予定日、納品方法、検収の条件など |
| 修正対応 | 無料修正の回数や対象範囲、追加料金の条件 |
| 外部費用 | サービス利用料、ドメイン、プラグイン、決済手数料など |
| 保守・運用費 | 公開後の更新、障害対応、サポートなどの費用 |
| 支払条件 | 支払時期、分割の有無、振込手数料の負担など |
作業内容は「一式」だけにせず分けて書く
ノーコード制作の見積書では、「サイト制作一式」のようにまとめすぎず、工程ごとに分けて記載するのが基本です。何に対する費用なのかが分かれば、依頼範囲を変更したときの再見積もりもしやすくなります。
- ヒアリング・要件整理
- サイト構成や画面構成の作成
- ワイヤーフレームや画面設計
- デザイン作成・デザイン調整
- ノーコードツールへの構築
- テキストや画像の登録
- フォームや予約機能の設定
- 外部サービスとの連携
- スマートフォン表示への対応
- 動作確認・テスト
- 公開作業
- 操作方法の説明
ページ単位で見積もる場合は、「トップページ1ページ」「下層ページ5ページ」のように数量を示します。業務アプリの場合は、「ログイン画面」「一覧画面」「登録画面」など、画面や機能の単位で分けると内容を確認しやすくなります。
ノーコードツールの利用料や外部費用を分けて記載する
ノーコード制作では、制作費とは別に、利用するサービスの月額料金や年額料金が必要になることがあります。これらを制作費に含めるのか、依頼者が直接契約するのかを見積書に明記します。
- ノーコードサービスの月額・年額利用料
- 独自ドメインの取得・更新費用
- 有料テンプレートやプラグインの費用
- メール配信サービスの利用料
- 予約・決済サービスの利用料や手数料
- 地図、分析、顧客管理などの外部サービス費用
- 画像、フォント、素材の購入費用
料金はプランや契約期間によって変わるため、未確認の費用を「無料」や「制作費込み」とは書かないようにします。見積書には、確認できている金額、料金の単位、支払者を記載し、不明なものは「別途実費」「契約プランにより変動」などと明示します。
費用の支払先を区別する
見積書では、次のように支払先を分けると分かりやすくなります。
| 費用の種類 | 記載例 |
|---|---|
| 制作費 | 要件整理、デザイン、構築、テストなどの作業費 |
| 実費 | ドメイン、画像素材、有料プラグインなどの購入費 |
| サービス利用料 | ノーコードツールや外部サービスの月額・年額料金 |
| 継続費 | 公開後の保守、更新、サポートの費用 |
機能の範囲と対応条件を具体的に書く
ノーコード制作では、同じ「フォーム設置」や「予約機能」でも、入力項目、通知方法、決済の有無によって作業量が変わります。機能名だけでなく、どこまで対応するかを書きます。
たとえばフォームなら、次の内容を確認します。
- 入力項目の数
- 自動返信メールの有無
- 管理者への通知方法
- 送信内容の保存先
- ファイル添付の有無
- 迷惑メール対策の設定
- 個人情報に関する表示や同意欄
予約機能なら、対応する予約枠、定員管理、キャンセル受付、決済、通知メールなどを分けて記載します。見積書に書かれていない機能を、当然に含まれるものとして扱わないことが重要です。
デザインと素材の扱いを明記する
デザイン費には、どの範囲の作業が含まれるのかを示します。テンプレートを使うのか、オリジナルデザインを作るのかでも、必要な作業は変わります。
- 既存テンプレートの選定・調整
- ロゴやブランドカラーの反映
- オリジナルレイアウトの作成
- パソコン表示とスマートフォン表示の調整
- 画像の選定・加工
- バナーや図表の作成
- 文章の作成・編集
写真撮影、イラスト制作、原稿作成、ロゴ制作などを含めない場合は、「依頼者から支給」「別途見積もり」と記載します。支給素材の点数や形式が決まっている場合は、その条件も書いておくと納品遅れを防ぎやすくなります。
修正回数と追加料金の条件を記載する
見積書には、無料で対応する修正の回数と範囲を記載します。「修正無制限」とだけ書くと、作業範囲が不明確になりやすいため注意が必要です。
たとえば、次のように条件を具体化します。
- デザイン案の提出は1案
- デザイン修正は各工程2回まで
- 文章や画像の差し替えは指定回数まで
- 構成変更や機能追加は別途見積もり
- 依頼者の都合による大幅な作り直しは追加費用
- ツールの仕様変更による対応は内容により別途相談
誤字の修正と、ページ構成を変える修正は作業量が異なります。無料修正の対象と、追加料金になる変更を分けておくと、双方が判断しやすくなります。
納品・検収・公開後の対応を明確にする
制作が完了する条件も、見積書または見積書に添付する仕様書に記載します。ノーコード制作では、構築が終わった時点と、公開して運用できる状態になった時点が異なることがあります。
- 納品するページや画面の範囲
- 対応するブラウザや端末
- 動作確認を行う機能
- 公開作業を含むかどうか
- アカウントの引き渡し方法
- 操作マニュアルの有無
- 依頼者による確認期間
- 不具合が見つかった場合の対応範囲
「納品後何日間は無償で不具合に対応する」といった条件を設ける場合は、対象を明確にします。新しい要望や仕様変更は、不具合対応とは別に扱うことが一般的です。
アカウントと権利の扱いを確認する
ノーコードツールのアカウントを誰が契約し、誰が管理するのかを決めておきます。制作者のアカウント内で制作する場合、契約終了後の移行可否や、移行にかかる作業費が問題になることがあります。
見積書や添付資料には、少なくとも次の点を記載します。
- サービスの契約名義
- 月額・年額料金の支払者
- 管理者アカウントの所有者
- 納品後のログイン情報の引き渡し方法
- 別のアカウントやサービスへ移行できるか
- 画像、文章、デザインデータの利用範囲
- 制作実績として掲載できるかどうか
アカウント移行やデータの書き出しは、利用するサービスの仕様によって可否や方法が変わります。見積書の段階で未確認の場合は、可能と断定せず、確認事項として残します。
保守・運用費は制作費と分けて見積もる
公開後の更新やサポートを依頼する場合は、初期制作費とは別に保守・運用費を示します。継続契約にするのか、作業が発生したときだけ請求するのかも記載します。
- テキストや画像の更新
- ページの追加・削除
- フォームの動作確認
- ノーコードツールの設定変更
- バックアップやデータ管理
- アクセス解析の確認
- 操作方法に関する問い合わせ対応
- 障害や表示崩れの確認
保守費に含まれない作業、対応時間、月あたりの依頼上限、緊急対応の扱いも必要に応じて明記します。サービス利用料や決済手数料など、制作者の保守費とは別に発生する費用も分けてください。
見積書の記載例
たとえば、ノーコードで小規模なWebサイトを制作する場合は、次のように項目を分けられます。金額は案件ごとに異なるため、これは項目の整理方法を示すための例です。
| 項目 | 内容 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 要件整理 | 目的、必要ページ、掲載情報の確認 | 一式 | 記載金額 |
| 構成・画面設計 | サイト構成と各ページのレイアウト作成 | 一式 | 記載金額 |
| デザイン調整 | テンプレートを使用した色・文字・配置の調整 | 一式 | 記載金額 |
| ノーコード構築 | 指定ページの作成とリンク設定 | ページ数 | 記載金額 |
| フォーム設定 | 入力項目、通知先、自動返信の設定 | 1式 | 記載金額 |
| テスト・公開 | 表示確認、フォーム送信確認、公開作業 | 一式 | 記載金額 |
| 外部サービス費 | ツール利用料、ドメインなど | 実費 | 別途または見積記載 |
| 保守費 | 公開後の更新・問い合わせ対応 | 月額または都度 | 別途記載 |
このほか、税込・税別、見積書の有効期限、支払条件、納期、修正回数、前提条件を記載します。金額の合計だけでなく、合計に含まれる作業と含まれない費用を示すことが重要です。
見積書を確認するときのチェックポイント
発注前には、金額だけでなく、見積書の範囲と条件を確認します。次の項目に答えられない場合は、制作者に確認してから契約してください。
- 何ページ、何画面まで制作するのか
- 必要な機能はすべて含まれているか
- ノーコードツールの利用料は誰が支払うのか
- ドメインや有料素材は見積金額に含まれるか
- 文章や画像は誰が用意するのか
- 無料修正は何回までで、何が対象か
- 公開作業や操作説明は含まれるか
- 納品後の不具合対応はどこまでか
- アカウントやデータを引き渡してもらえるか
- 保守や更新を依頼する場合の費用はいくらか
特に「一式」「別途」「必要に応じて」と書かれている項目は、内容や上限が分からないままにしないことが大切です。追加費用が発生する条件を、具体的な作業例とともに確認しましょう。
ノーコード制作の見積書で大切なこと
ノーコード制作の見積書では、制作費を安く見せることよりも、作業範囲、外部サービス費、修正条件、納品後の対応を分けて書くことが重要です。
最初に、制作するページや機能、使用するサービス、素材の準備者を確定します。そのうえで、初期費用と継続費用、含まれる作業と追加料金になる作業を整理すると、発注後の行き違いを防ぎやすくなります。







