ノーコードWeb制作の著作権に関する注意点は?

ノーコードWeb制作の著作権に関する注意点は?

ノーコードで制作したWebサイトでも、著作権の注意点は通常のWeb制作と変わりません。ノーコードツールを使ったことだけで、テンプレート、画像、文章、フォント、音源などを自由に利用できるようにはならないため、素材ごとの利用規約と、依頼者との契約内容を確認することが重要です。

ノーコードWeb制作で特に注意したい著作権

確認すべき主な点は、次の5つです。

  • テンプレートや部品をどこまで改変・公開できるか
  • 画像、イラスト、動画、音源の利用範囲
  • 文章やロゴの権利者が誰か
  • 制作物の著作権を誰が持つか
  • ツールの契約終了後もサイトや素材を使えるか

ノーコードツールは制作方法に関するサービスであり、サイト内に配置する素材や制作物の権利関係を自動的に整理してくれるものではありません。

テンプレートを使っても、自由に再利用できるとは限らない

ノーコードサービスのテンプレートは、利用規約に従って使う必要があります。色や文章を変更できても、テンプレート全体の再配布、別サービスへの移植、複数案件での利用、販売が認められているとは限りません。

たとえば、次のような利用は個別に確認が必要です。

  • テンプレートを大きく改変して、別のテンプレートとして販売する
  • 制作したページを画像やデータとして配布する
  • 同じテンプレートを複数の顧客へ納品する
  • ツールを解約した後も、書き出したデータを使い続ける

「編集できる」という機能上の制限と、「著作権上、再利用や販売ができる」という許諾は別です。利用規約で、商用利用、再配布、改変、納品、公開後の継続利用に関する条項を確認しましょう。

画像やイラストは、入手先と利用条件を記録する

Webサイトに掲載する画像やイラストは、無料で入手できることだけを理由に使わないようにします。無料素材でも、商用利用の可否、クレジット表記、加工の可否、会員登録の必要性、再配布の禁止などの条件が付いている場合があります。

有料素材を購入した場合も、購入者本人だけが使えるのか、顧客のサイトに掲載できるのか、広告や印刷物にも使えるのかを確認してください。素材サイトのアカウントを制作会社や制作者が持っている場合、顧客へ素材そのものを譲渡できないこともあります。

利用した素材については、次の情報を保存しておくと、後から条件を確認しやすくなります。

  • 素材名と提供元
  • 素材ページのURL
  • ダウンロード日または購入日
  • 利用規約やライセンスの内容
  • クレジット表記が必要かどうか

文章・ロゴ・フォントも著作権の確認が必要

文章は短い表現でも、内容や表現の仕方によって著作物となることがあります。他のWebサイトの文章を少し言い換えただけで掲載するのは避け、依頼者から提供された文章であっても、利用許諾の範囲を確認しておくと安全です。

ロゴは著作権だけでなく、商標権や他人の権利が関係する場合があります。依頼者がロゴを提供した場合でも、Webサイトへの掲載以外に広告、SNS、印刷物へ転用できるとは限りません。

フォントも、インストールして使えることと、Webサイトで配信できることは別です。Webフォントとして読み込む場合、CSSなどで指定する場合、画像に埋め込む場合で条件が異なることがあります。フォントのライセンスで、Web利用と商用利用が認められているか確認してください。

生成AIで作った素材は、元の素材と利用規約を確認する

ノーコードツールに生成AI機能が含まれている場合でも、生成された文章や画像を無条件に使えるとは限りません。ツールの利用規約に加えて、入力した素材の扱い、生成物の商用利用、第三者の権利侵害に関する条件を確認する必要があります。

特に、次のような素材を入力する場合は注意が必要です。

  • 顧客から預かった未公開の文章や画像
  • 第三者が著作権を持つ文章や写真
  • 個人情報や営業秘密を含むデータ

AIが作ったから権利問題がなくなるわけではありません。人物、キャラクター、ロゴ、既存作品に似た表現を使う場合は、著作権だけでなく肖像権や商標権なども確認しましょう。

制作物の著作権は、契約で明確にする

顧客から依頼を受けてWebサイトを制作しても、制作物の著作権が自動的に顧客へ移るとは限りません。制作者が作成した文章、画像、デザイン、コードなどの権利を誰が持つのかは、契約内容や制作物の性質によって判断されます。

契約書や発注書では、少なくとも次の点を明記しておくと、納品後のトラブルを防ぎやすくなります。

  • 著作権を譲渡するのか、利用許諾にするのか
  • 利用できる媒体、地域、期間、目的
  • サイトの改変や別媒体への転載ができるか
  • 制作者が実績として紹介できるか
  • 第三者素材の権利は譲渡対象に含まれないこと
  • ツールや有料素材の利用料を誰が負担するか
  • 契約終了やサービス解約後のサイトの扱い

第三者の素材については、制作者が顧客へ著作権を譲渡できないことがあります。その場合は、「素材の著作権は素材提供者に残り、顧客はライセンスの範囲で利用する」といった形で、制作物本体と素材の権利を分けて記載します。

著作者人格権の扱いも確認する

著作権を譲渡しても、著作者人格権は別に扱われます。著作者人格権には、氏名を表示するかどうかを決める権利や、意に反する改変を受けない権利などがあります。

そのため、著作権の譲渡だけを契約書に書き、納品後の大幅な改変や匿名での公開について何も決めていないと、後から認識が食い違うことがあります。必要な範囲で、表示名、改変、実績公開の扱いを話し合っておきましょう。

ノーコードWeb制作の納品前チェックリスト

納品前は、次の順番で確認すると漏れを減らせます。

  1. テンプレートとノーコードツールの利用規約を確認する
  2. 画像、イラスト、動画、音源、フォントの出典と利用条件を一覧にする
  3. 文章、ロゴ、顧客提供素材の権利者と利用目的を確認する
  4. 生成AIを使った箇所と、AIサービスの利用条件を記録する
  5. 顧客との契約で、著作権、改変、実績公開、解約後の扱いを確認する
  6. 必要なクレジット表記やライセンス表示をサイトに反映する
  7. 利用規約やライセンスの記録を、納品後も保存する

権利者や利用条件を確認できない素材は、別の素材に差し替えるか、使用前に権利者へ許諾を取るのが基本です。分からないまま「無料」「商用可」「ノーコードだから問題ない」と判断しないでください。

まとめ

ノーコードWeb制作の著作権で重要なのは、ツールそのものではなく、テンプレートや素材の利用条件、制作物の権利者、顧客との契約です。特に、素材ごとのライセンス確認と、著作権の譲渡・利用許諾の明記を納品前に行いましょう。

契約内容や第三者素材の利用範囲に不安があり、事業への影響が大きい場合は、具体的な契約書や利用規約を示して弁護士などの専門家に確認する必要があります。