ノーコードWeb制作のヒアリングでは、通常のWebサイト制作に必要な内容に加えて、使うノーコードツール、更新する人、必要な機能がツールの範囲に収まるかを確認します。目的や対象者だけでなく、公開後の運用方法まで聞いておくと、制作途中の仕様変更や「思っていた機能が使えない」といった行き違いを防げます。
ノーコードWeb制作で確認する基本のヒアリング項目
最初に、Webサイトを作る目的と、誰に何をしてもらいたいのかを確認します。次の項目を順番に聞くと、要件を整理しやすくなります。
1. Webサイトを作る目的
- なぜWebサイトを作るのか
- 現在、どのような課題があるのか
- サイト公開後に、どの状態を目指すのか
- 問い合わせ、予約、資料請求、購入など、期待する行動は何か
- 既存サイトがある場合、残したい点と改善したい点は何か
「会社を知ってもらいたい」「問い合わせを増やしたい」だけでなく、誰からの問い合わせを増やしたいのかまで確認します。目的が曖昧なままだと、デザインやページ構成の判断基準が定まりません。
2. ターゲットとサイト訪問者
- 主な閲覧者は誰か
- 年齢層、職業、地域などの特徴はあるか
- 訪問者はどのような悩みや目的を持っているか
- スマートフォンとパソコンのどちらで見る人が多そうか
- 初めて知る人向けか、既存顧客向けか
ターゲットが決まると、使う言葉、情報量、写真の見せ方、問い合わせまでの導線を考えやすくなります。複数の対象者がいる場合は、優先順位も確認します。
3. 掲載する情報とページ構成
- 必要なページは何か
- 各ページに掲載する内容は何か
- 既存の原稿や写真を使うのか、新しく用意するのか
- 料金、営業時間、所在地、対応地域などの基本情報は何か
- 実績、事例、スタッフ紹介、よくある質問は必要か
- 公開時点で必須のページと、後から追加するページはどれか
一般的には、トップページ、サービス紹介、会社情報、実績、問い合わせページなどを候補にします。ただし、必要なページは目的や業種によって異なるため、最初からページ数だけを決めず、掲載内容と役割を整理します。
4. デザインとブランドイメージ
- どのような印象にしたいか
- 反対に避けたい印象は何か
- 希望する色、フォント、写真の雰囲気はあるか
- 参考にしたいWebサイトはあるか
- ロゴやブランドガイドラインはあるか
- 既存の名刺、パンフレット、SNSなどとデザインを合わせるか
参考サイトを聞くときは、「全体の雰囲気」「色」「写真」「レイアウト」など、どの部分を参考にしたいのかも確認します。サイト全体をそのまま再現するのではなく、目的や権利関係に配慮して要素を整理します。
5. 必要な機能
- 問い合わせフォーム
- 予約受付や相談予約
- 資料請求
- ブログやお知らせの投稿
- 商品やサービスの一覧表示
- オンライン決済やネットショップ
- 会員限定ページ
- 多言語表示
- SNSや外部サービスとの連携
- アクセス解析や広告計測
ノーコードでも多くの機能を実現できますが、使える機能や連携方法はツールによって異なります。特に、会員管理、複雑な検索、独自の計算処理、外部システムとの連携などは、利用するツールで実現できるかを早めに確認します。
ノーコードならではのヒアリング項目
ノーコードWeb制作では、完成後に誰がどのように管理するかが重要です。制作するページだけでなく、ツールの選定と運用条件も聞き取ります。
6. 使用するノーコードツールの希望
- 利用したいノーコードツールがあるか
- 現在使っているツールやサービスは何か
- 既存サイトを移行するのか、新規に作るのか
- 特定の外部サービスと連携する必要があるか
- 独自ドメインを使うか
- 無料プランと有料プランのどちらを想定しているか
ツールの希望がある場合でも、必要な機能や運用条件に合うとは限りません。希望するツールをそのまま採用するのではなく、必要な機能、更新のしやすさ、費用、将来の拡張性を照らし合わせて判断します。
7. 公開後の更新担当者と運用方法
- 公開後に誰が文章や画像を更新するのか
- 更新担当者の人数とWeb制作の経験
- 更新したい情報の種類と頻度
- 更新前に社内確認や承認が必要か
- 制作会社などに更新を依頼する可能性があるか
- 更新マニュアルや操作説明が必要か
更新担当者が専門知識を持たない場合は、画面の分かりやすさや操作手順も要件に含めます。公開後に自社で更新するなら、実際に更新する人が操作できるかを、制作中に確認しておくと安心です。
8. 権限と管理体制
- 管理画面を使う人は誰か
- 管理者と編集担当者を分ける必要があるか
- 退職や担当変更の際に権限を変更できるか
- ログイン情報をどのように管理するか
- 制作会社と社内のどちらが契約やアカウントを管理するか
アカウントの名義や契約者を曖昧にすると、担当者が変わったときにログインできない、解約や移行の手続きができないといった問題につながります。契約者、管理者、更新担当者を分けて整理します。
制作スケジュールと費用に関するヒアリング項目
納期や予算は、ページ数だけでなく、原稿や素材の準備状況、確認回数、必要な機能によって変わります。最初に条件を具体化します。
9. 公開希望日と進行条件
- 公開したい日
- 公開日が決まっている理由や期限
- 原稿、写真、ロゴなどを用意できる時期
- 社内確認にかかる期間
- 担当者が不在になる時期
- 公開後に追加する内容があるか
公開希望日だけでなく、素材の準備や確認に必要な期間も確認します。すべての機能を公開日に間に合わせるのが難しい場合は、必須機能を先に公開し、追加機能を後から実装する方法も検討できます。
10. 予算と継続費用
- 制作に使える予算
- ノーコードツールの月額または年額料金
- ドメインやメールにかかる費用
- 有料テンプレートや外部サービスの費用
- 写真撮影、原稿作成、ロゴ制作などの費用
- 公開後の保守や更新を依頼する費用
ノーコードは制作工程を効率化しやすい一方、ツールの利用料や外部サービスの料金が継続して発生することがあります。制作費だけでなく、公開後に毎月または毎年かかる費用も分けて確認します。
原稿・画像・権利関係の確認項目
文章や画像を誰が用意し、どの範囲で使えるのかを確認します。素材の準備が遅れると、制作や公開の時期にも影響します。
11. 素材の準備状況
- 会社や店舗のロゴデータがあるか
- 掲載できる写真があるか
- 写真を新たに撮影する必要があるか
- 原稿を誰が作成するか
- 文章の確認者と最終承認者は誰か
- 掲載できる実績やお客様の声があるか
12. 著作権・個人情報・掲載許可
- 使用する写真や文章の権利を確認できているか
- 人物写真の掲載許可を得ているか
- お客様の声や導入事例を掲載してよいか
- 問い合わせフォームで何の情報を取得するか
- 取得した個人情報を誰が管理するか
- プライバシーポリシーなどの掲載が必要か
他のWebサイトや検索結果から文章や画像をそのまま使うことは避けます。掲載許可や利用条件が不明な素材は、使用できるか確認できるまで制作に組み込まないことが大切です。
公開後に確認する項目
公開して終わりにせず、問い合わせやアクセスの状況を見ながら改善できるようにします。何を成果とするかを、制作前に決めておきます。
- 問い合わせ数や予約数を確認するか
- どのページを見てほしいか
- アクセス解析を導入するか
- フォームの送信後にどのように対応するか
- 更新や改善をどのくらいの頻度で行うか
- 公開後の不具合や質問に誰が対応するか
成果を確認するためには、単にアクセス数を見るだけでなく、問い合わせや予約など、目的に合った指標を決めます。導入する解析ツールや計測方法によって設定が異なるため、必要な計測内容を先に整理します。
ヒアリングシートにまとめるときの項目一覧
聞き取った内容は、次のような項目にまとめると、制作担当者と依頼者の認識をそろえやすくなります。
| 分類 | 確認する内容 |
|---|---|
| 目的 | 制作理由、解決したい課題、サイトで促したい行動 |
| 対象者 | 主な訪問者、悩み、優先するターゲット |
| 構成 | 必要なページ、掲載情報、公開時の必須範囲 |
| デザイン | 希望する印象、色、参考サイト、既存ブランドとの統一 |
| 機能 | フォーム、予約、決済、ブログ、会員機能、外部連携 |
| ツール | 使用希望のノーコードツール、既存サービス、契約プラン |
| 運用 | 更新担当者、更新頻度、権限、公開後の管理方法 |
| 素材 | 原稿、写真、ロゴ、実績、掲載許可、権利関係 |
| スケジュール | 公開希望日、素材提出日、確認期間、段階的な公開の有無 |
| 費用 | 制作費、ツール利用料、ドメイン費用、外部サービス費、保守費 |
| 成果確認 | 問い合わせや予約などの目標、アクセス解析、改善方法 |
ヒアリングで特に優先して確認する3項目
時間が限られている場合は、まず「目的」「必要な機能」「公開後の運用」の3つを確認します。
- 目的:誰に何をしてもらうサイトなのかを決める。
- 機能:必要な機能が利用予定のノーコードツールで実現できるか確認する。
- 運用:公開後に誰が更新し、費用やアカウントを誰が管理するか決める。
この3項目が明確であれば、ページ構成やデザイン、ツール選びを具体化しやすくなります。反対に、機能や運用を確認しないまま制作を始めると、完成後に追加費用や別のサービスが必要になる可能性があります。
ノーコードWeb制作のヒアリングでは、目的、ターゲット、ページ内容、デザイン、必要な機能に加え、ツールの制約、更新担当者、継続費用まで確認します。最初に「公開後に誰が何をするか」まで決めておくことが、無理なく使い続けられるWebサイトにつながります。







